Article 01

クラテル・インベルチード

Cráter Invertido

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弟の知り合いの方より紹介いただき、メキシコシティを拠点とするアーティスト・コレクティブ「Cráter Invertido クラテル・インベルチード」のアトリエを訪問した。"知り合いの知り合いの兄"というまったくもって何者かわからない存在だったはずだが、設立メンバーでもあるアンドレスやメンバーの皆は快く迎え入れてくれた。

彼らはひとつのフラットを共同で借り、そこをアトリエとして各自が製作したり、ワークショップなどのイベントを開いたりしている。リソグラフ印刷機があるスタジオ、ミーティングルーム、資料室、ライブラリー、PCルーム(週2でラジオも配信しているとのこと)、キッチンと部屋がわかれている。どの部屋も中庭から自然光がたっぷり入る。

壁には進行中のプロジェクトのメモやドローングがぎっしり張り巡らされている。現在は、新しいカタチのグラフィティを模索しているが苦戦中とのことで、鉛筆で殴り描きされた楽しいフォルムがミーティングルームの壁を埋めていた。正規なメンバーは10人弱というこだったが、常に人が出入りしていて、軽口を交しあったり真面目に打ち合わせをしたりと、ゆったりした空気が漂よいつつも活気を感じた。

いくつか彼ら出版したFanZine(ここではファンジンと呼ぶ)を見せてもらう。ドローイングの作品がとにかく多い。日本でリトルプレスというと写真集や画集的なものも多いので、なんだか新鮮。彼らから日本の漫画について話をふられる。最近のというより昔の手塚治虫のようなものに興味があるらしいが、それとは別に横山裕一氏の作品のファンで翻訳してこちらで出版したとのこと。自分のやっているレーベルKiteの本を見せる。僕らの本は少し造りの凝ったところがあるので、その仕組みと技術に色々と質問を受ける。気に入ってくれて交換しようと提案されたが、あいにく1部ずつしか持ってきていないので、かわりに2冊ほど彼らの本を購入した。

印象に残ったのが自国の政治やその歴史をテーマとした作品が多いこと。見た目はチープでいわゆるストリートカルチャーらしいドローイング作品なのだが、そこに込められているメッセージが現政府に対する反発だったり、暗い歴史をモチーフにしていたり。特に気負ったところもなく、表現しようとする誰もが最初に掴むテーマという印象で、その地続きな感じがすごく説得力があった。

craterinvertido.org

Article 02

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