Article 02

RRD

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Cráter Invertidoへ訪問した際に、メンバーから1人の青年を紹介された。彼はブルーノという名で、ちょうど何かの要件でクラテルのアトリエに来ていたらしい。話をしてみると、彼もリトルプレスのレーベルをもっていて、店も運営しているという。場所を聞いてみたところ、具体的な住所が無くここの大きな屋敷の目の前だ、とざっくり位置を教えてもらった。
翌日教えてもらった場所へでむくと、道端にポツンと青い出店があった。近づいて確認すると、確かにリトルプレスらしい面構えの本が並んでいる。その日はニコラスという別のメンバーが店番をしていた。人通りのわりに狭い道に設置された出店の前を、足早に通り過ぎる人もいるが、立ち止まって眺める人、色々質問をする海外からの旅行者など、最初の印象(誰がこんな道端でリトルプレスを見るんだろう?)よりも大分接点が多い。リソグラフで4色印刷された、メキシコ内の反体制運動時の簡易建築をまとめたファンジンを購入。その後、彼らのアトリエを訪問した。

彼らのレーベルはRRDという。Red de Reproducción y Distribuciónの頭文字をとっており、直訳すると"複製と配布のネットワーク"となる。ただしスペイン語読みなので「アールアールディー」ではなく「エルエルデ」と読む。ちょうど早口言葉のようなシャレが効いていて、綺麗に言えず彼らに笑われる。その名の通り、自分らで本を制作するかたわら、近い知り合いのファンジンや海外のアーティストから持ち込まれた作品などを紹介・販売している。

彼らの販売形態がキヨスク(彼らの店の呼び方)に至った経緯をブルーノに聞いてみると、笑いながら手作りの模型を見せてくれた。メキシコシティでは、青果や生活用品と同じように古本や雑誌がキヨスクで売られている。そこから自分らのファンジンもキヨスクで売ろうと夢想していた際にシャレでつくった模型とのこと。ただしその夢想は模型をつくった数週間後、道端で売りに出された古びたキヨスクにブルーノが偶然出くわすことで実現化する。彼らはそのキヨスクをすぐに購入し、街頭販売する権利を得るためにキヨスクの書店協会に入会する。その協会がメキシコ史の偉人"ビセンテ・ゲレロ"の名を冠にかかげていたため、自分らのキヨスクに彼の顔を描きそれが後にレーベルのシンボルマークとなった。オープン時にそのマークを見た協会の関係者から「いいドローイングだけど、なぜ眼帯をしているのか?」と聞かれた際にブルーノは「なんででしょう?多分グラフィティアーティストか誰かに落書きされたんじゃないですかね?」と答えたという。

erreerrede.org

2018.08.07

チャムラ

Chamula